時代を超えて残るものは何

ある日、リサイクル店で漆塗りのお椀セットをみつけた。5椀で2500円。価値からすれば激安だ。


しかし、こんな疑問が脳裏をよぎった。「我が家でこのお椀を使ってお味噌汁をいただく機会があるだろうか」。


使うには家族が5人いなければならないが、いまや我が家は3人しかいない。 高度経済成長時代までは多世帯同居の大家族。その後、祖父母が死去し、子世代が都会に出ると、地元には父母だけが残された。やがて父母も他界し空き家になった。そんな例はたくさんある。


 暮らし方も変わった。タンスや衣装ケースたちはマンションに装備された収納壁のおかげで出番をなくし、情報家電は最新の規格にあぶれた旧製品が山積だ。


リサイクル店には、時代が置き去りにしてきたライフスタイルが売られている。時の流れは一方通行で、古い生活が戻ることはないだろう。 人の営みの激変のなかで、時代を超えて残るものは何だろう。ほんとうに必要なものは何だろう。そんなことを考えさせられた。

栗本、敬浩。

徳島県阿南市でコピーライター&キャスターとして活動する栗本敬浩のサイト。

0コメント

  • 1000 / 1000