逆風の中、子供をはぐくむ。(私的論説)

●子供が減る一方だ

新野高校が阿南光高校に統合され数年が過ぎた。県立高校の定員は減っている。小中学校の統廃合も起きている。そんななか、授業スタイルを変えてしまうコロナという逆風は吹き、当の子供たちはオンライン授業でなくても登校拒否をする子供が増えている。


 われわれ大人の役割は、子供たちをのびのびと育むことだ。


阿南市では3~5歳の保育費が無償化になった。好ましいことだ。対象は、保育所、幼稚園、認定こども園、特別支援学校幼稚部、知的障害児通園施設、難聴幼児通園で、子育て家庭の支援にもつながり安心して保育ができる。


 ●増えている「フリースクール」希望者

 私の友人が、自然スクールを運営している。毎年入学希望者が増加しているようだ。この校舎の特徴は、自然環境下で、子供主体の育児を行うことで、人間同士が学びあう中で、対人関係能力も育成される。


●子供優先で移住する人もいる

地方移住についての動機をみると、子供の生育環境を考えて移住するという親御さんが増えている。2011年、福島原発事故で放散された放射能からの安全環境を求めて移住がブームとなり、本県では阿波町がダントツに移住者を増やした。


 この際に親御さんがしたことは、子供の生育環境を最優先させたことだ。 学校の充実ぶりや通いやすさなどがチェックポイント。さらには、保育所や学童の開設状況、またフリースクルールの存在を確認したうえで、わざわざ移住した人もいる。


 ●私塾の時代

 いま、「どこで暮らすか」、「何をして生きるか」は、年齢を超えて世代を超えて、重要な指標になっている。高等教育になると、専門性や資格取得とともに、「人生設計に直結する学びをしたい」というニーズが高まる。


 残念ながら徳島県内の大学収容人員ではすべての進学希望者を受け入れることができないので、多くは県外に進学する。そうなると就職まで県外にて行う方が選択肢が広がる。よって、県内に若者が少なくなるという悪循環に陥っている。


そこで、私塾という「学びあい・切磋琢磨の場」を開いてはどうか。 歴史的に見れば幕末・明治には私塾が各地で勃興し、人材を輩出した。 医師で蘭学者の緒方洪庵が大阪で開いた「適塾」では、若者たちがオランダ語や西洋の文化について学んだ。武士の吉田松陰は今の山口県で「松下村塾」を開き幕末の志士達に多大な影響を与えた。


地方にも教育人材が埋もれており、その起用と、学ぶ意欲を集め、公的な会館の開放などで軌道にのせたいものだ。


 ●生き残りを託す

いま、時代は激動期を迎えており、まさに江戸から明治への大転換を超えるような、世界的な枠組みの変化が起きている真っ最中だ。 国連はSDGsを提唱し、多国籍企業主導の経済政策と世論形成をリードしているが、阿南ではもっと地元の事情に合った「サバイバルリーダー」を育成することで、子供たちに羽ばたいてほしい。


これからは今までの繰り返しは通用しない。偏差値秀才も、生き残れるかどうかはわからない。人と人が知恵を出し合って、協力しながら生きていく時代がやってくる。


わたしは「阿南」に、そのサバイバルを可能にしてほしい。

栗本、敬浩。

徳島県阿南市でコピーライター&キャスターとして活動する栗本敬浩のサイト。

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