「後継者不在」で廃業しないで(新聞掲載)
阿南市にある私の友人の建設会社社長は、健康問題から後継者を探していた。先ごろ「人材としてはまだ不十分だが」といいながら、後継社長に自社社員を指名した。後継者がいるのはいいほうで「後継者がいない」という悩みから事業をたたむ会社が増えている。
中小企業庁の調べでは、25年までに70歳を超える中小・零細企業経営者は245万人。その半数の127万人は後継者が未定だという。日本政策金融公庫総合研究所が、中小企業に廃業理由を聞いた調査では、3割近くが後継者問題を挙げた。
日本経済は中小企業が支えている。その貴重な働き口としての中小企業がたたまれることは、国民にとって大きな損失となる。なんとしても食い止め、雇用を未来へと継いでいく必要性がある。
そこで浮き上がるのは「経営者としての人材をどう見いだし、マッチングしていくか」だ。社員に適材がいなければ、適合する第三者を探し出す必要がある。
県内の商工会議所では「徳島県事業承継・引継ぎ支援センター」という活動をしている。また、金融機関にもこういった相談が集約されているだろう。そこで、各地の行政としてもこの動向をとらえ、適切なマッチング支援に動き出すことも考えていただきたい。あらゆる窓口を総動員して、徳島の中小企業を守り抜く決意が必要だ。
※徳島新聞 読者の手紙掲載
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