伝統工芸よ、どこへ行く

阿南のおみやげ物を探そうと、JR阿南駅に隣接する「光のまちステーションプラザ」に久しぶりに行ってみた。大掛かりなレイアウト変更の最中だった。以前は入ったらすぐに「竹人形コーナー」があった。それが一番奥に後退し狭くなっていた。目抜きの場所は、これからは市民による飲食販売や作品展示など、多目的に使われるのかもしれない。

伝統工芸は斜陽だ。最盛期の50年前には竹の里・新野町でも約50人もの人形師が活躍したそうだが、需要も後継者も減った。そこで阿波竹人形の灯を再点火しようと阿波の名工・鶴羽さんを師に「竹人形後継者養成講座」(平成21年)が開かれた。現在、竹人形コーナーの人形師・松崎さんは、鶴羽さんの教え子だそうだ。しかしその鶴羽さんも亡くなり、教え子8人の教え子たちも、今は散ってしまった。

竹製のパーツを組み立てる。無機質な竹が動き出す。踊り子さんのあでやかなお色気。男衆の激しい動き。ぞめきのお噺子も聞こえてきそうだ。「血が通っている」そんな製作体験もここでできたのに…。

受け継いできた匠の技が、いま絶えかけている。文化は水をやらなければ枯れる。その水を絶やしてはならない。これは、行政としての使命だとおもう。

栗本、敬浩。

徳島県阿南市でコピーライター&キャスターとして活動する栗本敬浩のサイト。

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