県内から鉄道路線が消える日(新聞掲載)

日中、牟岐線の汽車に乗ると中はがらがらだ。客がいない。

JR四国の経営は、瀬戸大橋の本四備讃線を除くとすべて赤字だ。しかも、国立社会保障・人口問題研究所が2018年にまとめた推計では、2045年の人口は282万3000人。2015年に比べ、26%に当たる102万3000人が減少するとされている。お客様はますます減る一方だ。さらに、コロナショックで出張や交易は格段に縮小。今後もますます人の移動は減るだろう。

JR四国が出した「100円を稼ぐために必要な費用」(平成25~29年平均)では、徳島線が218円、牟岐線の徳島-阿南で183円、阿南-海部では635円で四国ワースト2だ。四国4県の県庁所在地相互間を結ぶネットワークは維持すべきだとしても、阿南-海部間は廃止が妥当だといわざるをえない。

牟岐線の阿波海南-海部間はすでに阿佐海岸鉄道に経営が移管され、2021年12月25日からDMV(デュアルモードビークル)での本格営業運行が開始された。鉄道も走るが、路線バスにもなる新交通手段だ。阿南-海部間の交通はこれが延伸し担う可能性もある。だが見通せない。

このような前提では、市が進めている阿南駅前の再開発計画は根底から見直すべきで、駅が中心の発想は成り立たない。

徳島新聞掲載


栗本、敬浩。

徳島県阿南市でコピーライター&キャスターとして活動する栗本敬浩のサイト。

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